理学療法士について

理学療法士って何をする人?
皆様は、「理学療法士」と聞いて、どんなイメージを持たれていますでしょうか?
「理学療法士って、リハビリの人でしょ?」
「施設とか病院で、働いているイメージ。」
「正直あんまり、わからない」
そんなふうに思われてる方が多いかもしれません。
実際には、理学療法士は“動き”と“動作”の専門家として、ケガや病気をした人だけでなく、健康な人や働く人々、そして企業や地域社会まで、幅広い場面で活躍しています。
特に近年は「ウェルビーイング(より良い状態)」という言葉が注目される中、理学療法士の役割は“治す”だけではなく、“整える”“高める”ことへと広がりを見せています。
この記事では、理学療法士とはどんな専門職なのか?について、一般の方向けにわかりやすくお伝えしていきます。
理学療法士とは?日本と世界の違い
日本の理学療法士の定義(厚生労働省)
理学療法士はケガや病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対して、基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法(温熱、電気等の物理的手段を治療目的に利用するもの)などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する医学的リハビリテーションの専門職です。
日本の理学療法士の役割(厚生労働省)
理学療法士を一言でいうならば「動作の専門家」です。寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩くなどの日常生活を行う上で基本となる動作の改善を目指します。
関節可動域の拡大、筋力強化、麻痺の回復、痛みの軽減など運動機能に直接働きかける治療法から、動作練習、歩行練習などの能力向上を目指す治療法まで、動作改善に必要な技術を用いて、日常生活の自立を目指します。
近年では、少しずつ分野の広がりが見られ、赤ちゃんから子供、アスリートや社会人などにも広がってきています。
世界の定義(World Physiotherapy)
国際的な視点から、World Physiotherapyが考える理学療法士について説明いたします。
World Physiotherapyは129の国や地域による国際的な機関です。
理学療法士は、質の高い生活と機能的な運動能力を特定し、それを最大限に引き出すことを可能にする専門職とされています。
その実践は、促進、予防、維持、介入/治療、リハビリテーションといった広範な領域にわたります。
そして、理学療法士の目的は、身体的、心理的、感情的、社会的なウェルビーイングを包含(ほうがん)しています。
そして対象者は患者やクライアント(必ずしも病気や怪我をしていないが、理学療法士の助言やサービスから恩恵を受けられる個人やグループ、組織)です。
日本と世界の違い
1つ目:対象者の違い
日本では、主にすでに障害を抱えている人や、障害の発生が予測される人を対象としています。
それに対して、WPの理学療法士では患者様だけでなく、病気やケガをしていない健康な人やグループ、組織など、理学療法士の助言やサービスから恩恵を受けられる全ての人を対象としています。例えば、スポーツ現場のアスリートや、健康増進に関わる全ての人も含まれます
日本における理学療法士
・実際に怪我や病気になり、すでに障害を抱えている人
・加齢に伴い、怪我や病気により障害を抱えるリスクのある人
WPにおける理学療法士
・スポーツ現場で活動していれば、スポーツ分野に関わる全ての人
・健康増進に関わる現場で活動していれば、健康増進に関わる全ての人
・etc
2つ目:目標の違い
日本では、前述の「対象者が自立した日常生活を送れるよう支援すること」
例えば、麻痺や骨折で動作が困難になった人が自分で生活を送れるように練習したり、社会参加を支援したりすること。
それに対して、WPでは「質の高い生活と機能的な運動能力を特定し、それを最大限に引き出すこと」を目標としています。
身体的、心理的、感情的、社会的なウェルビーイングを包含し、老若男女、ケガや疾病に関係なく、「その人らしい人生」を歩むための支援を行います。
一人ひとりに合わせた「動き方」を特定し、プライベート、社会、スポーツなど、ジャンルを問わずその能力を最大限に引き出すことを目指します。
日本における理学療法士
・麻痺や骨折で動作が困難になった人が、自分で生活が送れるように練習をする
・後遺症が残り、生活動作が困難になった人が生活しやすい環境を整える
・身体機能に制限があり、社会参加が困難な人に、社会参加が可能になるよう支援をする
WPにおける理学療法士
・よりよく動けることで、自分の生活において満足・充足感を得られるように支援する
・老若男女、怪我や疾病に関係なく、「その人らしい人生」を歩む支援をする
・一人ひとりに合わせた「動き方」を特定し、最大限に引き出す(プライベート・社会・スポーツ等、ジャンルを問わず)
まとめ
理学療法士は、病院や施設でリハビリテーションを行うだけでなく、赤ちゃんから高齢者、アスリート、社会人まで、幅広い人々を対象に、「動き」を通じて質の高い生活と「その人らしい人生」を支援する専門家として、その活躍の場を広げています。
日本では、まだまだ「病院や施設でリハビリをしている人。」と思われているかもしれませんが、実は、皆様にとってもとても身近な存在なのです。
私自身も、施設での訪問リハビリテーションに関わりながら、企業向けのサポートに力を入れています。
・メンタルヘルスの研修、肩こり腰痛になりにくい方法の研修、健康的に生きるために必要な情報の発信
・身体が「うまく動く」方法を学んでいただくボディワーク、身体から心を安定させるボディワーク
・企業向けに健康経営の啓発、健康経営計画への助言、働きやすい・身体に負担の少ない職場環境の提案
社会で働く、一人一人の方が、少しでも「自分らしく」、その人にの身体に合わせた「動き方」でより良い人生を送れるように支援をしています。